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2009年 08月 24日
Art Blakey#17
Art Blakey#17_b0054702_0555159.jpg集合写真の真ん中がローレンス
僕らの大雑把なオーストラリア人のイメージとは全く違って、凄く繊細でどちらかというとシャイな印象を持ちました。そして、彼が今回のツアーを心から楽しんでいるのが伝わってきて、僕も嬉しく思いました。
そんなローレンスのステージ。本当に、本当に素晴らしかった!!

微かに聞こえる波の音と、彼がゆっくりと動かすハルモニウム(かな?)が奏でる柔らかいドローンが溶け合って、それがまた少しずつ少しずつ折り重なり、ゆっくりと深く深くなっていく響き。
音量も少しずつ少しずつ段々と大きくなっていき、遂には溢れんばかりの音の波に包まれるような、本当にそんな錯覚に陥るような、これまで聴いたことのない深い深い音でした。

Art Blakey#17_b0054702_0543566.jpg僕が驚いたのは、その音の響きの透明度の高さ、解像度の高さ。
圧倒的な音量の筈なのに、凄く見通しが良いというか、複雑に折り重なる波紋の様子が一つ一つ見えるような、そんな気がしたのです。
ちょっと上手く伝わるか分かりませんが、例えばGoogle Earthで、最初は只の地形にしか見えないところが、ホイールを回してズームするのに従って、雲を抜け森を掻き分け、次第に町並みが見え、そして行き交う車や人が見え、更にはそこの人々の生活の様子が見えるような、そんな感じでしょうか。
彼の音楽は、波の音や木々の揺れる音など所謂フィールドレコーディングがベースになっているのかもしれませんが、しかし、こんな感覚は実際の自然の中にはありません。PAのタクミ君が驚いていましたが、周波数帯域の盛り上がりが完璧にコントロールされていた、とのことです。ローレンスは、計算され尽くしたテクニックと明確なイメージでもって、この深い響きを創り出しているのです。

音を聴く、というよりこれは最早体験するという方が正しいように思えます。

主催の僕らも含め、この日居合わせた人のほとんどは、この種の音楽に直接触れる機会がこれまで余り無かったのではないかと思います。でも、終演後、みんなが如何に素晴らしかったかを何とか言い表そうとしていたのが印象的でした。僕は、頭の中にあの響きが未だに鳴り続けているような、そんな気がしています。

という感じで、みんなソファーに寝そべって半分ウトウトしながら演奏を観るような、そんな素敵な夜でした。雰囲気としては、僕の想像以上、ホントに理想的な空間だったと思います。
実は、僕の思ってた以上にお盆に阻まれて(笑)、余りお客さんは多くなかったのですが、でも、来てくれた方々は凄く満足してもらえたみたいで、僕的には、こりゃもう大成功ですね。良かったなーと。

Art Blakey#17_b0054702_142915.jpgこの日のトップはswiss。もう何年ぶりだろう、本当に久しぶりに山口君と早道君の二人だけだった訳ですが、これがもう最高のパフォーマンス!! そして、この日のアートブレイキーへのイントロダクションとして完璧なものでした。
写真を見てのとおり、これは正に「音の対局」(笑)。
その指し手は、DSやら「大人の科学」の付録のアナログシンセやらのガジェットで繰り広げられるヒネリの利いた音響工作、といった趣。しかも、咳払いすら憚れる程の小さな音量。二人の動きも必要以上に必要最小限。
僕は、すっかり策にハマって終始笑いを堪えてました(笑)。やはり、こうでなくっちゃ。これまた期待以上のインパクト。
対局の結果は、足が痺れて正座を崩した早道君の負け(笑)。また再戦してもらわなきゃだね。

Art Blakey#17_b0054702_0561785.jpg続いて福岡在住のオーストラリア人、シェーン。繊細な印象のローレンスに対して刺青バリバリのゴツい風体の彼は、テーブル一杯にエフェクターを並べ、時には咆哮も交えるある意味正統派のノイズ・パフォーマンスでした。
小さな擦れが増幅され、最終的にはハーシュノイズになっていく様は、かなりノイズを出し慣れている、というか、的確にコントロールされ構成立てられている印象。
おそらくかなりの爆音だったと思うのですが、ソファーに寝そべったみんなはむしろ心地良さそうに見えました。ノイズで癒し、なのか(笑)?
そういや、後半コールアンドレスポンスみたいなのがあったのかな? 僕はちょうど幕間のDJの準備をしてて観てなかった、、。残念。

てことで、この日全キャスト唄無し、ビート無しということで敢えて唄もの、リズムが立っているものを中心にかけてみた訳ですが、いや、やはり中々難しいですね。純粋に経験が足りないなー、なんて思ったり。
それに対して、DJ TsuKoNinは、遂にマックを持ち込みやがりました。経験をテクノロジーで補おうという訳か(笑)。

Art Blakey#17_b0054702_0565467.jpg経験といえば、次のnankotsu brothersは、このユニット、というか兄弟でやるのは初めてとのこと。で、nankotsu teacher本体(?)でも二度目のライヴ、と言ってたかな?
そんな彼らの緊張が伝ってくるステージでしたが、音の方は清々しいほどストイックなアンビエント/エレクトロニカ。そして、恐ろしくハイクオリティ。
チリチリとしたビープ音にピアノの囁き、耳心地良いクリスピーなクリップ音、サイン波が折り重なり合い、その狭間で生まれた倍音が空気をゴゴゴと揺らす。永遠に続く変調するドローンにクラクラしながら永遠に続いてくれ、と思いました。本当に、こんな才能がローカルシティにいるのです。もっと沢山の人に観て欲しかったなー。
あと、たまに目配せし合う様やマイクロコルグをじんわりと弾く後姿は、充分ライヴ・パフォーマンス足りえてるなー、なんて思ったり。まぁ、実際彼ら兄弟がどんな役割分担になっているのか、ちっとも分からないのだけども。
僕的には、こういう音楽こそライヴや正式な音源作成の過程によって鍛えられると思っているので、是非またお願いしたいな、と思っております。皆さんも要チェック。

Art Blakey#17_b0054702_0572964.jpgそして、この日初めて間近でライヴを観て、改めてそのプレイスタイルに驚かされた電子卓上音楽団
いや、これはちょっと凄くないか? CDJ3台で繰り広げられる純粋な電子音響工作。こういうスタイルの人が他にいるのか知らないのだけど、文字通り音を直接操るその指先に僕は釘付けでした。

不規則不安定に発せられるビキビキのパルス音におもむろに差し込まれる呻き声のようなスクラッチ音。
所謂ノイズ系のアーティストの多くが、様々な音を重ねていく過程で、増幅し変調しノイズを創りだすのに対して、電卓は、その過程を全く排し、音が鳴り始めた瞬間から、既に純粋なノイズなのです。結果的に情緒やカタルシスは一切入る隙が無く、ただただストイックに鳴り響く音そのもの。
しかも、導入からエンディングまで非常にコンパクトなのが秀逸。まるで、しっかりと筋が練られた短編の小説や映像のよう。実は、凄く聴きやすいような気さえします。
SCO/竹永君が持ち時間は20分がベスト、というのはこういうことなのでしょう。ホント、もっと評価されてしかるべき、だと思います。これで、もう少しキャッチーな音使いが入ると、ググッと人気が出るのでは?なんて思ったり(笑)。挿し色のようなね。
ということで、正式な音源を是非!! 今後も注目していかなきゃです。

てな感じで、ざざっと振り返ってみました。
今回本当にナバロでないと実現出来なかった雰囲気。本当に感謝です。そして、PAのタクミ君!! 流石のプロ仕事でグッド・サウンドを創り出してくれました。
いつもいつも頼りっぱなしのタデさんにも感謝。お盆に阻まれた皆さんにもありがとう、と。
打ち上げは、最早定番の三年坂。何だか久々にとりとめの無いグダグダな話に終始。申し訳ない、、。

次のアートブレイキーは10月後半ですよ。中々凄いことになりそう。乞うご期待。

by marr_k | 2009-08-24 01:08


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