2006年 09月 07日
こんなものを聴いた6
(前回の続き、、)

b0054702_041100.jpg んで、対する(?)スコット・ヘレンは、やはり05年にPrefuse 73名義で"Reads the Books E.P."というミニアルバムを出します。これは、the booksというニューヨークのエレクトロニカ・ユニットの作品をスコットがリミックスしたもの、なのかな? これも凄く良いです。
 実は、僕はこのミニアルバムでPrefuse 73を再発見。細やかなビートと左右を行き交うサンプリング。あぁ、Prefuseって凄くいいじゃないか!と今更ながら、、。
 
b0054702_041945.jpg 僕は、これを聴いてthe booksのアルバムも買ってみたのですが、こちらは基本的にほとんどビートレスで、発信機のようなドローン音にヴォイス・サンプリングを絡めていく、というような手法の人達のようで、非常に抽象的で実験的な作風にもかかわらず、どこか文学的でフォーキーな趣があるのです。所謂フォークトロニカとは違い、非常に興味深く思いました。僕が買ってみたのは、"Lost and Safe"という05年のTomLabからのアルバム。 この辺、もっと探ってみると色々面白そうなのがありそうですね。

b0054702_0305563.jpg 続いて、Prefuse 73の3rd"Surrounded By Silence"。このアルバムは、色々なミュージシャンとのコラボレーションを中心として創られたもの。結果的に、非常にバラエティに富んだ感じになって凄く聴きやすいです。blonde redheadのカズやbattlesのタイヨンダイ・ブラクストンなどとのコラボレートもあり、出自がオルタナティヴ・ロックの僕にも(笑)、引っかかりどころ満載です。
 そして、僕はこのアルバムでサンプリング・サウンドの凄さを再認識したのです。何というか、もともと既に曲だったりフレーズだったりと形作られていたものの一部を取り出し、再構成することによって、音そのものやその音に付随していたはずの時間を直接エディットしているような感覚とでもいうか。スクラッチなどに顕著ですが、音そのものに、まさに物理的に手を触れて変調してしまうことによって生じる独特のアシッド感。
 例えとして正しいかどうか分かりませんが(僕は今まできちんとサンプリングで曲を創ったことがないので)、ギターでコードを弾いた後に、ほんのちょっとアームに触れることによって起こるわずかな変調が生み出すアシッド感、そんなものに近いような気がします。

 ということで、僕は去年くらいからようやくヒップホップ的音楽が聴けるようになってきたのではないか、という気がしています。実際、この文章を書きながら、約5年前は全く持ってダメだったPrefuseの1stを聴いていたのですが、もうメチャメチャ良いじゃないですか! なんかソンをしてた気分です(笑)。

b0054702_073627.jpg 先のアルバムでもそうでしたが、最近よくスコットと絡むことの多い人の一人に、nobodyという人がいます。この人も凄く良いですよ。最新作は"And Everything Else..."。やはり05年リリースでPlug Reserchより。
 この人の特徴は何と言っても、所謂ソフト・サイケをサンプリングして再構築していること。そして、それが単なるギミックというかネタという感じではなく、きちんと曲として成り立っていることでしょう。歌ものも何曲かあり(Flaming Lipsのカバーも!)で、凄い聴きやすい感じですが、でも、そのまま聴いていると、だんだん気持ちが奥深くに沈みこんでいく実はアシッド感満載な音楽。頭の奥に響いてくるハイハットの響きやフワフワと鳴り続ける上モノ。何と言うか、陳腐な比喩でアレですが、青白いライトが光るトンネルの中をぼんやりと歩いているような感覚に陥ります。
b0054702_051157.jpg また、この人は今年の春くらいだったか、Nobody and Mystic Chords of Memoryという名義で、元Beachwood Sparksの人と"Tree Colored See"というアルバムを出しておりまして、それがまた非常良い! こちらはWarpより。
 全編歌もので、まさに現代のソフト・サイケという感じ。こちらも、表面上の聴き易さとは裏腹に極上のアシッド感(笑)。ヒップホップ/サンプリング・ミュージック独特のブチブチとしたビートとやはり深いエコーを湛えた上モノに柔らかくメロウなヴォーカル。こちらもお勧めです。

b0054702_052331.jpg あと、このような感覚の音楽で思い浮かぶのが、Four Tet。フリッジというバンドもやっているキエラン・ヘブデンという変な名前(失礼)の人のユニットで、ジャンル的には、やはりエレクトロニカ(フォークトロニカ?)などとなるのでしょうか。スコットとも交流深いようで、同じく生音嗜好が強い感じ。変調され歪んだビートがゆらゆらと、時には突然巻き起こる嵐のように漂いながら、意識をグラングランにしてくれます。でも、それが醸し出すのは、非常に精緻でロマンティックな叙情性。そこがまた素敵です。
 このブログで、最新作をちょっと紹介しましたが、個人的には余り良くなかったので(笑)、一つ前の"Rounds"を。レーベルは何故かDominoからで、03年だそう。

b0054702_053352.jpg あと、もう一つだけ。スコット関連とは全然関係ないのですが、やはり同じような感覚の音楽で是非紹介したいのが、Nathan Michelという人。
 ちょっと詳細は僕も余り分からないのですが、この"The Beast"というアルバムが凄く良いのです。レーベルは、マウズオンマースで知られるsonigかな。
 グラグラと揺れるビートと遊び心溢れる音使い。ちょっとビーチボーイズやハイラマズあたりを思わせるセンチメンタルなレイドバック感。でも、以前はブレイク・コアの中心レーベル、タイガービート6からリリースしていたことも納得の偽悪的な毒素もたっぷり盛り込まれています。グラグラガクガクと船酔いしながらも、虜になってしまうこと請け合いです。

 ちょっと、後半話がずれましたね(笑)。ともかく、スコット・ヘレンを一つの軸として、かなり広い音楽へと繋がっているのです。上に挙げたようなものの他にも、オルタナティヴ・ヒップホップなどと言われるアンチコン関連や彼のレーベル『Eastern Developments』からのアーティスト、Reminder(Town&Countryのジョシュ・エイブラムスのユニット)やDaedelus絡みだったり、或いは彼の別名義(多すぎ)Piano Overloadだったり、もうキリがありません。デヴェンドラ・バンハートら所謂フリー・フォーク・シーンとの交流もあるようです。
 しかし、どのアーティストの作品も質が高いのは、やはりスコット自身が極度の音楽好きだからなのでしょう。僕は結局のところ、その一点で彼を信頼し、動向を追ってしまうのです。
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by marr_k | 2006-09-07 00:26 | Comments(2)
Commented by まともす at 2006-09-11 20:34 x
どうもご無沙汰しております。ますもとです。お元気ですか。レヴュー楽しく読ませていただきました。スコットへレンネタが出てるので黙っていられなくなり初かきこさしてもらいます。プレフューズなら「THE ’92 VS ’02 COLLECTION」は4曲入りでボリューム少なめですが笑い死にしそうなくらいカッコイイです。スコットへレンがたまに使う、ガラスコップ並べて水量で音階作った鉄琴みたいな音が聴けて、もうこれがヤバイのなんの。カッコよさの風速80メートルです。立っていられません。あとセカンド「ONE WORD EXTINGUISHER」は未聴とのことですが、これのアウトテイク&ボツリミックス集の「EXTINGUISHED」は本編よりも数段かっこよいです。ボートラ含め24曲入り¥1800はお買い得です。
Commented by marr_k at 2006-09-11 23:20
おぉ、まっちゃん久しぶりだね! 元気そうで何より。一時は心配してたんだぜ(笑)。
挙げてくれたプレフューズ名義どちらも未聴。特に、4曲入りの方気になるなぁ。カッコよさの単位は風速なのか!? 是非チェックしてみます。
2ndは、実は試聴した挙句に見送ったという体たらく、、。リミックスから取り戻すのもいいな。サンキュー。
しかし、この界隈はホント追えば追うほど、気になるのがいっぱい出てくる、、。キリが無いね(笑)。


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