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2006年 09月 30日
こんな感じでした2
b0054702_272092.jpg さて、今回は、先日行われた「東京最前線」というイベントについて少し。このイベントは、大分在住のサックス奏者、山内桂さんの呼びかけで、東京の文字通り「最前線」の先鋭的音楽を九州に紹介しようという企画とのことです。出演者は、一般的には全く無名だけども、各々が様々な形態のイベントを企画し、正に音楽的な最前線を切り拓き続けている方々。って、ちょっと堅い書き出しですね。軽くいきましょう。

 まぁ、この種の音楽、或いは表現手法にはどうしてもある種の誤解、或いは敷居の高さを感じさせるものがあるのですが、それはもう致し方ないことですね。元々の表現の出所というのが、本来の語義である大衆音楽という意味においてのポップ・ミュージックというものとは、全くかけ離れたところにあるのですから。

 例えば、僕なんかを含め、所謂ポップ・ミュージック側からアヴァンギャルド・ミュージックへと接近を図るということは、結果的に音楽的表現と非音楽的表現との軋轢を如何に現出させるかというところに、アヴァンギャルドであろうとすることの必然性を求めるところがあるのですが、この「東京最前線」の方々は、そうではなくて、音を出し始める最初のところからアヴァンギャルドである必然性を持っている、とでも言うか。音そのものへの偏執的なこだわりと表現手法そのものへの徹底的な探求。「大衆」という概念は最初から存在せず、しかし、その表現の質の高さ、或いは表現手法の独自性の高さにより、触れた人たちを魅了し、結果的にある種の「大衆」が生まれるということ。この「大衆」は、一般的「大衆」よりも、当然より批評的立場に立ち易く、これが独特の敷居の高さを作り出しているのではないのかなと。前衛的或いは実験的音楽にはそのような批評性が幸か不幸か最初から内包されているのでしょう。または、その批評性そのものが前衛への入り口になっているのではないかとも思えます。

b0054702_219590.jpg とりとめの無い「アヴァンギャルド考」になってしまいました、、。要は、そんなものは関係ないではないか、ということ。アヴァンかどうかを考えることが既にアヴァンじゃないぜ!みたいな(笑)。
 結局、僕が、この種の音楽に求めるのは、それがどれほど刺激的なものなのかというその一点。怒りだったり安らぎだったり興奮だったりというものは、「ポップ・ミュージック」で賄っておけばいい。それを大衆に落とし込むのが「ポップ・ミュージック」の役割ではないでしょうか。そういう情緒を全く意図しない純粋な刺激。これは、ちょっと堪らないじゃないですか?
 その刺激性を情緒へと如何に落とし込むか、それが僕らの役割なのかな、とも思います。(例えば、ovalを初めて聴いた時は、そういう意味でも非常に衝撃を受けました。)
 
 では、前書きはこのくらいにして、、。

 今回の「東京最前線」は、ショウケース的意味合いが強いものだったのですが、だからこそ出来るだけ多くの人に見て欲しかったのです。でも、やはり集客はどうも奮わず、、。まぁ、しょうがないかな、とも思うのですが、ホント勿体無いなぁと。

b0054702_1561718.jpg そんな雰囲気の中、「東京最前線」の企画者である山内さんが演奏を始める。ソプラノ・サックスを構え、少し腰を落としゆっくりと空気を確かめるように音を出し始める山内さん。気音を使った即興の曲を含め、あっという間の3曲。これが、本当に素晴らしかった! 個人的には、今まで見た山内さんの演奏の中ではベストかなと。
 なんというか鮮烈で清廉なサックスの響き。まるで、まだ幾分の冷たさの残る初春の風のように、空気が軽快に爽やかに管を吹き抜ける! そんなイメージがありありと浮かびました。何度も観ているはずの、代表曲"salmo"もメチャメチャ良かった。もっと長い間、その音が吹きぬけ、勢いよく跳ね上がる様を眺めていたい、そんな感じがしました。写真で、その雰囲気だけでも伝わると良いのですが、、。

b0054702_2134132.jpg 山内さんの見事なイントロダクションに続いて、まずは高橋琢哉氏。フライヤーの紹介文では、様々なものを使っての即興演奏を中心に活動されているとのことですが、この日は、ギターのみでのパフォーマンス。おそらく完全に即興なのでしょう、不規則に鳴らされるハーモニクス音と不意に訪れる「正しい」和音。その流れから、彼は突然唄いだしたのです。いや、これはビックリしました(笑)。全く想定外なエモな佇まい!? これも、思わず(?)即興でやってしまったのでしょう。またその流れから、今度はインプロの定型を示すような速いパッセージの折り返しを経て終演へ。
 突然の唄に驚かせられたパフォーマンスだったのですが、彼は舞踏家とのコラボレーションを多数やっておられるとのこと。舞踏の現場で瞬間瞬間に創られる演奏というのは、おそらくかなり多様なものでしょう。今回の演奏は、高橋さんのほんの一部を垣間見ただけなのかなと思いました。

b0054702_233427.jpg やっと会場のプライヴェート・ロッヂの雰囲気がこなれて来たかな、というところで、吉村光弘氏の登場。個人的には、今回の「東京最前線」で一番気になっていた人。まぁ、それは単純に彼の演奏手段であるマイクロフォン・フィードバックとは?という興味からなのですが。高く立てられたコンデンサ・マイクと、それに繋がれているであろうヘッドフォン。それが干渉しあってフィードバック音が出るのですが、かなりヤバイ音でしたね。
 僕も以前、アンプに直接マイクを繋いで、マイクをアンプに向けると発生するフィードバックで演奏(?)をしようとしたことがあるのですが、いや全く持ってダメでしたね、、。演奏どころか、もうどうしようも無かった(笑)。
 しかし、この吉村さんの演奏は、非常に洗練されていました。頭の中を削るような高周波な微音。それが、どういうことだか空間をうねる。もう目で見えそうなくらいのはっきりとした体裁をとったピリピリとした音波(そう、正に音波だ!)が、現れるのです。その動きは、余りにも目前で、或いは頭の中で起こるため、いつの間にか方向感覚のようなものが失われてしまいそうでした。割りに短めの時間で終わったのですが、これがもうちょっと長い時間続くと、ホントにヤバイ気がしました。いや、スゲーなと。
 そいういえば、結構前に一楽さんのシンバルのみのパフォーマンスを観たことがあるのですが、それと近いものがありました。頭の中に直接入り込んでくる音。

b0054702_25871.jpg そして、tamaruさん。今回のキャストでは一番メジャー(?)でしょうか。ベースの即興演奏を中心に、各方面で多岐に活動されている方です。
 ベースにコーラスと複数のディレイをかけて生み出される重厚で穏やかなドローン。今回の「東京最前線」の中では、最も「音楽的」と言っていいでしょうか。和音があり、ハーモニーがあり、微かながらも展開もあるように僕には思えました。しかし、このドローン音の粒子の滑らかさは何なんでしょう。もっと音響の良いところで聴けたら、と思わざるを得ませんでした。
 ちなみに、tamaruさんは、新しい音源を会場で無料で配っていた(!)のですが、その内容は、この日のライヴとは全く別物でした。非常にきっぱりとした電子音響作品といった風情。跳ね回るたびに微妙に表情を変える音の粒を追っていると、何故か凄くリラックスして来ます。実は、これを書いている間何度もリピートしていたりして。
 tamaruさん、様々な引き出しをお持ちの方のようです。他の形態でのパフォーマンスも是非見てみたいなと。

 tamaruさんが終わり、最後に4人でセッションとなりました。ちょっと時間が短かったので、特にこれといった感想を持つことは出来なかったのですが、あらためて、4人が4人とも独自の方法なのだなぁ、とか思いました。これにて、熊本での「東京最前線」は終わり。

b0054702_285120.jpg 個人的には、やはり人が少なかったのが残念ですが、内容は刺激的で非常に濃いものでした。プライヴェート・ロッヂもいい感じで、タコライスはおいしかったし。しかし、冷蔵庫のモーター音が気になるイベントというのもお店としては、やりにくいだろうな(笑)。
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by marr_k | 2006-09-30 02:21 | Comments(0)
2006年 09月 07日
こんなものを聴いた6
(前回の続き、、)

b0054702_041100.jpg んで、対する(?)スコット・ヘレンは、やはり05年にPrefuse 73名義で"Reads the Books E.P."というミニアルバムを出します。これは、the booksというニューヨークのエレクトロニカ・ユニットの作品をスコットがリミックスしたもの、なのかな? これも凄く良いです。
 実は、僕はこのミニアルバムでPrefuse 73を再発見。細やかなビートと左右を行き交うサンプリング。あぁ、Prefuseって凄くいいじゃないか!と今更ながら、、。
 
b0054702_041945.jpg 僕は、これを聴いてthe booksのアルバムも買ってみたのですが、こちらは基本的にほとんどビートレスで、発信機のようなドローン音にヴォイス・サンプリングを絡めていく、というような手法の人達のようで、非常に抽象的で実験的な作風にもかかわらず、どこか文学的でフォーキーな趣があるのです。所謂フォークトロニカとは違い、非常に興味深く思いました。僕が買ってみたのは、"Lost and Safe"という05年のTomLabからのアルバム。 この辺、もっと探ってみると色々面白そうなのがありそうですね。

b0054702_0305563.jpg 続いて、Prefuse 73の3rd"Surrounded By Silence"。このアルバムは、色々なミュージシャンとのコラボレーションを中心として創られたもの。結果的に、非常にバラエティに富んだ感じになって凄く聴きやすいです。blonde redheadのカズやbattlesのタイヨンダイ・ブラクストンなどとのコラボレートもあり、出自がオルタナティヴ・ロックの僕にも(笑)、引っかかりどころ満載です。
 そして、僕はこのアルバムでサンプリング・サウンドの凄さを再認識したのです。何というか、もともと既に曲だったりフレーズだったりと形作られていたものの一部を取り出し、再構成することによって、音そのものやその音に付随していたはずの時間を直接エディットしているような感覚とでもいうか。スクラッチなどに顕著ですが、音そのものに、まさに物理的に手を触れて変調してしまうことによって生じる独特のアシッド感。
 例えとして正しいかどうか分かりませんが(僕は今まできちんとサンプリングで曲を創ったことがないので)、ギターでコードを弾いた後に、ほんのちょっとアームに触れることによって起こるわずかな変調が生み出すアシッド感、そんなものに近いような気がします。

 ということで、僕は去年くらいからようやくヒップホップ的音楽が聴けるようになってきたのではないか、という気がしています。実際、この文章を書きながら、約5年前は全く持ってダメだったPrefuseの1stを聴いていたのですが、もうメチャメチャ良いじゃないですか! なんかソンをしてた気分です(笑)。

b0054702_073627.jpg 先のアルバムでもそうでしたが、最近よくスコットと絡むことの多い人の一人に、nobodyという人がいます。この人も凄く良いですよ。最新作は"And Everything Else..."。やはり05年リリースでPlug Reserchより。
 この人の特徴は何と言っても、所謂ソフト・サイケをサンプリングして再構築していること。そして、それが単なるギミックというかネタという感じではなく、きちんと曲として成り立っていることでしょう。歌ものも何曲かあり(Flaming Lipsのカバーも!)で、凄い聴きやすい感じですが、でも、そのまま聴いていると、だんだん気持ちが奥深くに沈みこんでいく実はアシッド感満載な音楽。頭の奥に響いてくるハイハットの響きやフワフワと鳴り続ける上モノ。何と言うか、陳腐な比喩でアレですが、青白いライトが光るトンネルの中をぼんやりと歩いているような感覚に陥ります。
b0054702_051157.jpg また、この人は今年の春くらいだったか、Nobody and Mystic Chords of Memoryという名義で、元Beachwood Sparksの人と"Tree Colored See"というアルバムを出しておりまして、それがまた非常良い! こちらはWarpより。
 全編歌もので、まさに現代のソフト・サイケという感じ。こちらも、表面上の聴き易さとは裏腹に極上のアシッド感(笑)。ヒップホップ/サンプリング・ミュージック独特のブチブチとしたビートとやはり深いエコーを湛えた上モノに柔らかくメロウなヴォーカル。こちらもお勧めです。

b0054702_052331.jpg あと、このような感覚の音楽で思い浮かぶのが、Four Tet。フリッジというバンドもやっているキエラン・ヘブデンという変な名前(失礼)の人のユニットで、ジャンル的には、やはりエレクトロニカ(フォークトロニカ?)などとなるのでしょうか。スコットとも交流深いようで、同じく生音嗜好が強い感じ。変調され歪んだビートがゆらゆらと、時には突然巻き起こる嵐のように漂いながら、意識をグラングランにしてくれます。でも、それが醸し出すのは、非常に精緻でロマンティックな叙情性。そこがまた素敵です。
 このブログで、最新作をちょっと紹介しましたが、個人的には余り良くなかったので(笑)、一つ前の"Rounds"を。レーベルは何故かDominoからで、03年だそう。

b0054702_053352.jpg あと、もう一つだけ。スコット関連とは全然関係ないのですが、やはり同じような感覚の音楽で是非紹介したいのが、Nathan Michelという人。
 ちょっと詳細は僕も余り分からないのですが、この"The Beast"というアルバムが凄く良いのです。レーベルは、マウズオンマースで知られるsonigかな。
 グラグラと揺れるビートと遊び心溢れる音使い。ちょっとビーチボーイズやハイラマズあたりを思わせるセンチメンタルなレイドバック感。でも、以前はブレイク・コアの中心レーベル、タイガービート6からリリースしていたことも納得の偽悪的な毒素もたっぷり盛り込まれています。グラグラガクガクと船酔いしながらも、虜になってしまうこと請け合いです。

 ちょっと、後半話がずれましたね(笑)。ともかく、スコット・ヘレンを一つの軸として、かなり広い音楽へと繋がっているのです。上に挙げたようなものの他にも、オルタナティヴ・ヒップホップなどと言われるアンチコン関連や彼のレーベル『Eastern Developments』からのアーティスト、Reminder(Town&Countryのジョシュ・エイブラムスのユニット)やDaedelus絡みだったり、或いは彼の別名義(多すぎ)Piano Overloadだったり、もうキリがありません。デヴェンドラ・バンハートら所謂フリー・フォーク・シーンとの交流もあるようです。
 しかし、どのアーティストの作品も質が高いのは、やはりスコット自身が極度の音楽好きだからなのでしょう。僕は結局のところ、その一点で彼を信頼し、動向を追ってしまうのです。
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by marr_k | 2006-09-07 00:26 | Comments(2)
2006年 09月 01日
こんなものを聴いた5
 さて、次は何にしようかな、と結構悩みました。この流れから行ったらカンタベリー・ミュージックかなぁ、とも思ったけど、そういや僕はそんなにカンタベリー自体には思い入れが無いじゃん、と気付いたので止めます。大体あんまり詳しくない、、。『ストレンジ・デイズ』とかを読んだほうが良さそうだし。
 てことで、一気に現代的な方へ。今回は、Prefuse 73関連で行きます。"Hip Hop meets electronica"とかって言われてるのかな? ジャンルで言うと、まぁそんな感じでしょう。ともかく、Prefuse 73=スコット・ヘレンだけに限らず、この周辺は良いものが本当に多いです。

b0054702_3472250.jpg と言いながら、実は僕はPrefuse 73は最初ダメだったのです。01年にwarpから出た1st"Vocal Studies + Uprock Narratives "を僕は鳴り物入りで買ったのですが、全然馴染めませんでした、、。この1stは、その後のアルバムや他のスコット・ヘレンのユニットに比べて、ヒップホップ色が強いと言えるのですが、もう僕が馴染めなかった理由は、単純にそのヒップホップ色がダメだった、というホントにダメな理由で、、。
 ていうか、ヒップホップはそれこそデラソウルを始め、ずっと前から何度もチャレンジして、何度も挫けていたのです。おそらく僕がヒップホップでダメなのは、その大雑把さではないか、という風に考えています。何と言うか、非常にアメリカ的でノリノリであることを迫られるような感じ。音の強度とノリで成り立っているところというか。まぁ、完全に偏見なのでしょうが、、。実際デラソウルなどは、そんな所謂ヒップホップでないという評判で聴いてみることにしたのに、やはり、どうも馴染めず。というか、以前は黒人全般ダメだったのです。差別じゃないですよ(笑)。黒人特有の濃厚さ(?)が、ちょっと僕には、、。
 で、Prefuse 73は、黒人じゃないし(笑)、エレクトロやポスト・ロック的な取り上げ方もされていたので、これは良さげじゃないか!と思ったわけです。ジャケも凄くカッコいいし。でも、全くダメでしたね、、。再生して音が鳴り始めた瞬間に、あ、ダメかも、と思ったくらい。結局、この1stは何回も聴きませんでした。凄く残念に思ったのを覚えています。

b0054702_3474573.jpg しかし、そのほんの少し後に買ったDelarosa and Asora名義の"Agony,Pt.1"というアルバム、これが本当に素晴らしかった! 僕は、これを車に乗りながら何度聴いたことか。
 Prefuse 73名義の1stと同じく01年リリースで、レーベルはSchematic。こちらは、エレクトロニカになるのでしょうか、非常に不安定で柔らかい粒子の中で、ブツブツとグリッチーなリズムが跳ね上がるような感じ。ヒップホップ的な大雑把さとは全く異なる繊細で複雑なフォーマット。時折入る時間を捻じ曲げてしまうようなブリッジが堪らないです。グィーンみたいな。
 今、久々にこのアルバムを聴いていますが、やはり素晴らしいですね。音質というかプロダクションは、さすがに少し前という感はあるけども。お勧めです。スコット・ヘレンは、もうこの名義を使うのを止めてしまい、この絵画のようなアブストラクトさは他の名義に引き継がれてはいるのですが、このアルバムの美しさは格別です。

b0054702_348198.jpg スコット・ヘレンは、やっぱりスゲェなぁと思いながら、僕はPrefuse 73名義の2ndはパスしてしまいました、、。結局未だに持ってない。
しかし、Savath&Savalas名義のアルバムはしっかりゲット。こちらは、生演奏主体で、割としっかりとした曲想を持ったスペイン人の女声シンガーとのユニット。この名義でも何枚か出していますが、よく聴いたのは2ndでやはりWarpからのリリースの"Apropa't"。スペイン録音でジョン・マッケンタイアがミックスだそう。アコギをコードチェンジをするときに出る弦の掠れの音が素敵。ラテン特有の倦怠感が堪らないです。英米の音楽とは異なった譜割り/アクセントも刺激的。

 そう、この名義での作品は、どこかMice Paradeと雰囲気が近いものがあります。やはり、ラテン音楽の影響を強く受け、アブストラクトなフォームから、歌ものへ向かっている感覚。本人達が知り合いかどうかは知らないけども、僕のCDラックでは、スコット・ヘレン関連とDylan Group~Mice Parade/アダム・ピアーズ関連は、隣通しに置いてあります。てことで、アダム・ピアーズについても少し。
 
 この人は、所謂ポスト・ロックという言葉が一般的になる前からDylan Groupで、ツインドラムとビブラフォーンをメインにしたポリリズミックな音楽をやっていた人。何度かライヴを観ましたが、非常に複雑でレイヤーバリバリの音楽でありながら、この人はいかにもアメリカの大学生という感じの汚いヨレヨレのTシャツと長髪姿で、まるでパンクバンドのドラマーのように、チープな三点セットでバコバコとポリリズムや変拍子を叩くのです。僕は、本当に衝撃的でした。未だに目に焼きついていますが、全く緊張感無しでおもむろに叩き始め、凄く楽しそうに演奏する姿は、ほとんど現代音楽に近いような音楽性を、一気にポップに、或いはダンス・ミュージックにしてしまうほどでした。あぁ、僕はアダム・ピアーズに憧れてドラムを始めれば良かったのに!とヘンな後悔をしたものです。
 一昨年くらいに観たMice Paradeのライヴでは、HIMのダグ・シャリンがドラムを主に叩いていたのですが、最後の何曲かでアダム・ピアーズが叩いてツインドラムになりました。彼が、おもむろにドラムセットに座るやいなや、ポリリズミックなドラムを叩き始め、それで一気に雰囲気がポップでグルーヴィーになったのでした。ダグのまるで修行僧のようなストイックなドラムも凄く良いのですが、やはりアダムは違います。難解なはずの音楽が、いきなりエンターテイメントな感じに。スゲェな、なんてカッコいいんだろう、と思ったのでした。
b0054702_348176.jpg アダム・ピアーズ関連も様々ありますが、今の気分ではやはり最新作のコレですかね。05年のFatCatからのリリースで"Bem-Vinda Vontade"。アダム曰く『シューゲイザーmeetsトロピカリズモ』通り、ポリリズミックで細やかなグルーヴにマイブラばりの陶酔的な轟音ギター。その轟音とフラメンコ・マナーのアコギの絡み。そして、ブラジル音楽特有のサウダージ感。是非一聴を。

 ちなみに、アダム・ピアーズとスコット・ヘレンは、今はなんとなく音楽性が近いような感じがありますが、人間的には結構正反対なんじゃないかな、と思ったり。神経質そうでちょっと職人気質ぽい感じがするスコットに対して、アダムは、凄いざーっとしてそう。楽天家そうだし。実際凄いお喋りらしいです(笑)。
 でも、そこが音楽性にも違いとなって現れているような気がします。アダムが、どんどん情緒的な音楽へ向かっているのに対して、スコットは、構造や技法に重点を置いて、どちらかと言うと取捨選択して論理的に創っている印象があります。おそらくMice ParadeとSavath&Savalasが音楽性が似通っているのは、たまたまその道程がクロスしただけで、今後は全く違うものになっていくのではないか、と思います。

(まだ続くのだけれど、長くなりそうなので、、)
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by marr_k | 2006-09-01 03:53 | Comments(0)